賃貸契約を妻名義に変えるまで1年。得だと分かっていたのに…
こんにちは、ゆるたです。ゆるた家計ラボでは、面倒くさがりな会社員の自分が実際に試した家計管理のことを書いています。
家計の見直しで、いちばん金額が動いたのは家賃でした。
節約はしていません。賃貸契約の名義を妻に変えて、妻の勤務先の借り上げ社宅の制度に乗せ替えただけです。手続きにかかったのは1〜2日。それで支出が大きく下がりました。
ただ、この記事で書きたいのは手続きの話ではありません。このほうが得だというのは、最初から分かっていました。それなのに、切り替えるまでに1年かかっています。
その1年の話です。
結論:手続きは1〜2日。動くまでに1年
先に結論です。
- やったことは賃貸契約の名義変更(自分 → 妻)だけ
- 手続きは管理会社と妻の勤務先が進めてくれて、自分がやったのは書類のやりとりの一部だけ
- かかった時間は1〜2日。詰まったところはなし
- 引っ越しはなし。住んでいる部屋はそのまま
- 効果は、食費を半分に減らしたときより大きかった
そして、この判断が得だということは、部屋を借りた時点で分かっていました。それでも選ばなかった理由が2つあって、後半に書きます。たぶんそこが、この記事でいちばん役に立つ部分です。
住宅手当と借り上げ社宅は、別のものです
まず用語の整理です。ここを混同していると、自分の会社に何があるのか調べようがありません。
| 名称 | 仕組み |
|---|---|
| 住宅手当 | 給与に上乗せして支給されるタイプ。給与明細に「住宅手当」として載ります |
| 借り上げ社宅 | 会社が物件を借りて、社員に貸すタイプ。会社と管理会社のあいだで契約が結ばれ、社員は会社に自己負担分を払います |
一般に、この2つは税金の扱いが違うと言われています。ただし自分は税の専門家ではありませんし、条件は会社の制度設計によって変わります。気になる場合は勤務先の担当か、税理士に確認してください。
この記事で言えるのは、「名前が違えば仕組みも違うので、自分の会社にどちらがあるのかは確認する価値がある」というところまでです。
分岐点は、同棲を始めるときでした
いま住んでいる部屋を借りたのは、妻と同棲を始めるときです。
このとき、選択肢は2つありました。
A. 自分の名義で借りて、自分の勤務先の家賃補助を使う
当時は転職前で、自分に家賃補助が出ていました。
B. 妻の名義にして、妻の勤務先の借り上げ社宅の制度を使う
妻はそれまで、この制度を使って一人暮らしをしていました。
得なのはBでした。計算するまでもなく、Bのほうが世帯として残る金額は大きい。それは最初から分かっていました。
選んだのはAです。そして妻は、それまで使っていた借り上げ社宅を手放して、こちらに合流しました。
選ばなかった理由1:制度が無くなるかもしれなかった
ひとつ目は、制度そのものへの不安です。
当時、妻の勤務先の制度は条件の変更が多い時期でした。いま使えても、この先も使えるとは限らない、という話がいくつか出ていました。
制度に乗るというのは、生活の土台をそこに預けるということです。乗ったあとで無くなったら、家賃の負担が一気に戻ってきます。それなら最初から乗らないほうがいい、と考えました。
これは、いま振り返っても間違った判断だとは思っていません。不確実なものに生活を寄せない、というのは普通に合理的です。
選ばなかった理由2:自分の年収が下がる
問題はふたつ目です。
妻の制度に乗るということは、自分の家賃補助を手放すということでもあります。家賃補助は給与に乗って支給されていたので、これが無くなると、自分の年収の数字が下がります。
世帯で見れば、それでもBのほうが得です。手取りの合計は増える。それは分かっていました。
それでも、自分の年収が下がるのが嫌でした。
理由をうまく説明できません。誰かに見せる数字でもないのに、下がるのが嫌だった。「妻の会社の制度で住んでいる」という状態への抵抗と、たぶん地続きです。要するにプライドです。
これを書いているのは、同じ状態の人がそれなりにいると思うからです。世帯として得だと分かっているのに、自分の数字が下がるほうを選べない。家計の話なのに、判断しているのは家計以外の部分だった、ということです。
そして妻は、そのあいだ社宅を手放しています。自分のプライドには、ちゃんと値段がついていました。
転職で、手放すものがなくなった
そのあと転職して、自分の家賃補助がなくなりました。
このとき、理由2が消えました。手放すものが、もう無いからです。妻の制度に乗っても、自分の年収はもう下がりません。すでに下がっているので。
そして時期を前後して、妻の勤務先の制度も条件が固まりました。これで理由1も消えます。
つまり、使わない理由が2つとも無くなりました。
制度は、この間ずっと同じ場所にありました。変わったのは自分の状況のほうです。
ここが、この記事でいちばん実用的な部分だと思っています。制度は一度調べて終わりにするものではなく、転職・結婚・出産のようなライフイベントのたびに、判断の前提が変わっていないか確認し直すものでした。
それでも、1年かかりました
理由が2つとも消えてから、実際に名義を変更するまで、転職から数えて1年かかっています。
正直に内訳を書きます。前半と後半で、止まっていた理由が違いました。
前半は、様子見でした。制度の条件が固まったと言っても、本当に大丈夫なのかはすぐには分かりません。もう少し見てから決めよう、と思っていました。ここは合理的な時間だったと思っています。
後半は、単に動かなかっただけです。条件は揃っていて、手続きは1〜2日で終わる内容で、得なのも分かっている。それでも手をつけませんでした。
急ぎではないから、というのが自分への言い訳でしたが、急ぎでない支出ほど、放っておくと毎月出ていきます。手続きが1日で終わるものを数ヶ月放置すると、その数ヶ月分は戻ってきません。
結局動いたのは、家計を整理して「使いすぎている」という事実が出てきたあとでした。数字が出てくると、なんとなくの先延ばしは持ちこたえられなくなります。
確認しておきたい条件
借り上げ社宅の条件は会社ごとにまったく違います。うちの条件をそのまま並べても他社では役に立たないので、自分の会社の規程を読むときのチェック項目として挙げます。
- 契約名義を誰にする必要があるか(制度を使う本人の名義が求められることが多い)
- 世帯主の要件があるか
- 会社負担の上限額はいくらか(超えた分は自己負担)
- その他、勤務先が定める要件(在籍年数・勤務形態・雇用区分など、会社によって大きく異なる)
- 条件が変更される可能性はあるか ← うちが最初に手を出さなかった理由がこれです
とくに見落としやすいのが2の世帯主要件です。契約名義を変えるだけでなく、世帯主も合わせる必要がある場合があります。うちはこれが条件に入っていました。
そして3の上限額は必ず確認してください。うちの場合、上限は一人暮らし向けの1Kの家賃なら賄えるくらいの水準でした。上限を超えた分は自己負担なので、いま払っている家賃がその水準に対してどうかで、効果の大きさが変わります。
手続きは、ほとんど自分でやっていない
ここは拍子抜けするくらい簡単でした。
- 管理会社に「名義を変更したい」と伝えた
- 管理会社と妻の勤務先のあいだで、手続きが進んだ
- こちらは、必要な書類のやりとりだけ管理会社と対応した
会社と管理会社が直接やりとりしてくれたので、自分たちが動いたのは3の部分だけです。かかった時間は1〜2日。詰まったところは、とくにありませんでした。
借り上げ社宅は会社が契約する形なので、会社側に手続きの型があります。個人で交渉するわけではないので、そこが楽でした。
引っ越しは発生していません。住んでいる部屋はそのままで、契約の名義だけが変わりました。
1年迷ったものが2日で終わる、というのは、やってみるまで分かりませんでした。
何がいちばん効いたか
食費も見直していて、デリバリーと外食を減らして半分にしました。ただ、金額のインパクトで言えば家賃のほうが大きかったです。
理由ははっきりしています。
食費のような変動費は、毎月がんばり続ける必要があります。今月減らしても、来月また同じ判断をしなければいけません。
家賃のような固定費は、手続きが一度終われば、あとは何もしなくても効き続けます。1〜2日の手続きが、翌月以降ずっと効きます。
だから見直す順番は、変動費より固定費が先です。そして固定費の中でも、金額の大きいものから見ます。多くの家庭にとって、それは家賃です。
うまくいかないケース・注意点
正直に書いておきます。この方法が使えないケースは普通にあります。
- そもそも制度がない場合 — 借り上げ社宅も住宅手当もない会社は多数あります
- 条件を満たさない場合 — 名義・世帯主・在籍要件など、どれか1つでも外れると使えません
- 持ち家の場合 — 借り上げ社宅は賃貸の仕組みです
- 世帯主を変更することの影響 — 世帯主を変えると、他の手続きに影響する場合があります。心配な点は会社の担当に事前に確認してください
- 上限を大きく超える家賃の場合 — 超過分は自己負担なので、効果は薄くなります
- 制度がいつ変わるか分からない場合 — これは自分たちが最初に引っかかった点です。制度に乗ると生活の土台をそこに預けることになるので、無くなったときにどうなるかは、乗る前に一度考えておく価値があります
まとめ:損得は、たいてい先に分かっている
- 賃貸契約の名義を配偶者に変えるだけで、借り上げ社宅の制度に乗れる場合がある
- 住宅手当(給与上乗せ)と借り上げ社宅(会社が契約)は別物
- 確認すべきは契約名義・世帯主要件・負担上限・社内要件・条件変更の可能性
- 手続きは管理会社と会社が進めてくれた。こちらの実働は1〜2日、引っ越しもなし
- 制度は変わっていない。変わったのは自分の状況。転職・結婚・出産のたびに前提を確認し直す
最後に、この記事でいちばん書きたかったことを繰り返します。
どちらが得かは、最初から分かっていました。それでも1年動かなかった理由は、制度への不安と、自分の年収の数字が下がることへの抵抗でした。
家計の判断が止まるとき、止めているのは計算ではないことがあります。自分の場合はそうでした。損得の計算が終わっているのに動けていないなら、たぶん理由は計算の外側にあります。
今日やることは1つです。同居している家族の勤務先に、住宅関連の制度がないか聞いてみてください。
そしてもし「知っているけど使っていない」なら、その理由が制度の条件なのか、それ以外なのかだけ、切り分けてみてください。
なお、これは自分たちのケースの記録です。制度の内容も条件も会社によってまったく違いますし、自分は税や労務の専門家ではありません。個別の判断は、勤務先の担当か専門家に確認してください。
